Consumption Tax

消費税とインボイス

賃貸住宅の家賃は、契約で居住用と明らかにされている場合、消費税がかかりません。そのため、賃貸住宅だけを持つ方の多くは、消費税の納税義務がなく、インボイスの登録も必要ありません。一方、駐車場や事務所の賃料、建物の売却代金は課税されるため、収入の内訳によって判断が分かれます。制度の説明は2026年9月時点のものです。

監修:三上浩平(公認会計士・税理士)/最終更新 2026年9月29日

Who

対象の方

  • 賃貸住宅のほかに、駐車場、店舗、事務所、自動販売機の収入がある方
  • 建物の売却を予定していて、消費税の扱いを確認したい方
  • 課税事業者を選ぶと消費税が還付されると聞き、検討している方
  • 管理会社や修繕業者から、インボイスの登録について尋ねられた方

Non-taxable

住宅の家賃は非課税

消費税では、住宅の貸付けは非課税取引です。国税庁は、契約で人の居住の用に供することが明らかにされているものに限る、としています。契約書に居住用と書かれていなくても、実際の使われ方から居住用と明らかであれば、非課税に当たります。貸付けの期間が1か月に満たないものは、非課税に当たりません。

賃貸収入の消費税の扱い

収入消費税の扱い留意点
住宅の家賃・共益費(1か月以上の貸付け)非課税居住用であることが契約または使用状況で明らか
住宅に付属する駐車場(入居者が住宅と一括で借りる場合)非課税住宅の賃料と区分せず、一体として貸している場合
入居者以外に貸す月極駐車場課税駐車場の設備があり、車を保管する場合は課税対象
事務所・店舗の賃料課税住居として貸しているかどうかで判定する
1か月未満の短期の貸付け(民泊など)課税宿泊のための貸付けとして扱う
建物の売却代金課税(土地は非課税)売却の年の課税売上に加えて、納税義務を判定する

国税庁 タックスアンサー No.6201 による。個別の事例は、契約の内容と使用の実態で判断します。

Tax liability

納税義務の判定

消費税は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業者には、原則として納税義務がありません。基準期間は、個人は前々年、法人は前々事業年度です。住宅の家賃は非課税で課税売上高に含まれないため、賃貸住宅だけであれば、家賃収入がどれだけ大きくても、課税売上高はゼロです。

ただし、次の場合は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも、納税義務が生じます。

  • 適格請求書発行事業者(インボイスの登録事業者)になっている場合
  • 特定期間(個人は前年の1月から6月、法人は前事業年度の最初の6か月)の課税売上高が1,000万円を超える場合。給与等の支払額で判定することもできます
  • 消費税課税事業者選択届出書を提出した場合。原則として、提出の翌課税期間から納税義務が生じ、2年間は免税事業者に戻れません(課税事業者を選んだ期間に、税抜100万円以上の建物などの調整対象固定資産を取得した場合は、3年間戻れません)

建物を売却する年に、売却代金(建物分)が1,000万円を超えると、その2年後の基準期間の課税売上高が1,000万円を超え、課税事業者になる場合があります。売却の予定がある方は、売却の2年後の納税義務を、売却の前に確認します。

Refund

課税事業者を選んでも、賃貸住宅では還付を受けられない

以前は、賃貸住宅を購入した年に課税事業者を選び、購入した建物の消費税の還付を受ける方法がありました。現在は、居住用賃貸建物の課税仕入れ(令和2年度改正)は、仕入税額控除の対象外です。国税庁は、居住用賃貸建物の取得について、仕入税額控除が制限されていると説明しています。そのため、住宅の賃貸だけで、消費税の還付を受けることは、通常ありません。

  • 課税事業者を選ぶと、2年間は免税事業者に戻れず、その間の課税売上に対して納税が必要になる場合があります
  • 住宅の家賃は非課税売上のため、課税事業者を選んだ場合、仕入にかかった消費税は原則として控除できません
  • 駐車場や事務所などの課税収入が多い物件は、課税事業者を選ぶかどうかを、その収入と仕入の見込みを試算して判断します
  • 課税事業者を選んだ後は、消費税の申告が毎年必要になり、申告の費用が加わります

消費税の申告は顧問契約の範囲外です。課税事業者となる場合の申告は、お見積りとします。

Invoice system

インボイス制度の影響

適格請求書等保存方式(インボイス制度)は、買い手が消費税の仕入税額控除を受けるために、売り手が交付する適格請求書の保存を求める仕組みです。適格請求書を交付できるのは、税務署に登録した課税事業者だけです。免税事業者は登録できません。

  • 賃貸住宅の家賃は非課税のため、入居者に適格請求書を交付する必要はありません
  • 駐車場や事務所の賃料は課税取引のため、借主が消費税を控除する事業者の場合、適格請求書を求められることがあります。登録には課税事業者になる必要があります
  • 管理会社や修繕業者、仲介会社から受け取る請求書は、相手が登録事業者かどうかで、消費税の扱いが変わります。ただし、非課税売上が中心の場合は、支払った消費税は控除できず、賃貸事業の経費として扱います
  • 登録事業者の番号(T番号)は、請求書の保存の際、経理上の確認のために記録します

賃貸住宅のみの個人・資産管理会社は、多くの場合、消費税の申告もインボイスの登録も不要です。課税収入がある場合や、売却を予定している場合に、個別に判定します。

What we do

当事務所が行うこと

  1. 1

    収入の内訳の確認

    家賃、駐車場、事務所、その他の収入を、課税・非課税に分けて把握します。契約書の用途の記載も確認します。

    ご一緒に
  2. 2

    納税義務の判定

    基準期間、特定期間の課税売上高から、納税義務の有無を毎年確認します。

    事務所
  3. 3

    課税事業者の選択・インボイス登録の検討

    選ぶ場合と選ばない場合の税額と手間を試算し、お伝えします。

    事務所
  4. 4

    売却の年の確認

    建物の売却がある場合、売却代金の課税売上と、2年後の納税義務への影響を、売却の前に試算します。

    事務所

Documents

必要書類

  • 賃貸借契約書(用途の記載の確認)と、収入の内訳が分かる賃料一覧
  • 駐車場、事務所などの課税収入の契約書、請求書
  • 過去2年分の確定申告書(法人は決算書)、消費税の届出の控え(お持ちの場合)
  • 建物を売却する場合は、売買契約書の案

Fee

期間の目安と料金

納税義務の判定と、課税事業者の選択の相談は、顧問契約の随時の相談に含まれます。消費税の申告書の作成は、顧問契約の範囲外で、お見積りです。

FAQ

よくある質問

家賃収入が年間1,000万円を超えています。消費税の申告が必要ですか。
賃貸住宅の家賃は非課税で、課税売上高に含まれないため、家賃だけであれば申告は不要です。駐車場や事務所などの課税収入の合計が1,000万円を超えているかを確認します。
管理会社からインボイスの登録を勧められました。
登録が必要になるのは、課税売上があり、取引先から適格請求書を求められる場合です。住宅の家賃だけなら、入居者に適格請求書を交付する必要がないため、登録は必要ありません。課税収入の有無を確認して判断します。なお、登録すると課税事業者になり、消費税の申告が毎年必要になります。
アパートを1棟売却する予定です。消費税は関係しますか。
建物の売却代金は課税売上です。売却の年の課税売上高が大きいと、2年後の基準期間の判定で課税事業者になる場合があります。売却の前に確認します。
課税事業者を選んで、購入した物件の消費税を取り戻せますか。
居住用賃貸建物の課税仕入れは、仕入税額控除の対象外のため、賃貸住宅では通常、取り戻せません。

監修:三上浩平(公認会計士・税理士) 東京税理士会 登録番号 第144424号。制度の内容は2026年9月時点のものです。代表税理士のページ

Sources

出典

  1. 国税庁 No.6201 非課税となる取引https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6201.htm
  2. 国税庁 No.6501 納税義務の免除https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6501.htm
  3. 国税庁 No.6451 仕入税額控除の対象となるものhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6451.htm
  4. 国税庁 No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6498.htm
  5. 消費税法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/law/363AC0000000108

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