Useful Life
中古建物の耐用年数
中古の賃貸住宅を取得したときの減価償却は、新築と同じ法定耐用年数ではなく、簡便法で計算した年数を使えます。築年数が古い木造では、年数が4年まで短くなり、毎年の必要経費が大きくなる反面、償却が終わる年に税額が増えます。この記事では、構造別の年数、簡便法の計算式、計算例、注意点を整理します。制度は2026年9月時点です。
Statutory Life
住宅用建物の法定耐用年数
建物の法定耐用年数は、構造と用途によって定められています。住宅用のものは、次のとおりです。
住宅用建物の法定耐用年数
| 構造 | 住宅用の法定耐用年数 |
|---|---|
| 木造・合成樹脂造 | 22年 |
| 木骨モルタル造 | 20年 |
| 鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 | 47年 |
| 金属造(骨格材の肉厚が4mm超) | 34年 |
| 金属造(骨格材の肉厚が3mm超4mm以下) | 27年 |
| 金属造(骨格材の肉厚が3mm以下) | 19年 |
出典:国税庁 確定申告書等作成コーナー「耐用年数(建物/建物附属設備)」。
減価償却の方法は、平成10年4月1日以後に取得した建物では、定額法のみです。建物附属設備や構築物は、建物本体とは別の資産として、それぞれの耐用年数で償却します。
Simplified Method
中古資産の簡便法
中古で取得した建物の耐用年数は、法定耐用年数ではなく、その事業の用に供した時以後の使用可能期間として見積もった年数によることができます。見積りが難しい場合に使えるのが、次の簡便法です。
簡便法の計算式
| 経過の状況 | 耐用年数の計算 |
|---|---|
| 法定耐用年数の全部を経過している | 法定耐用年数 × 20% |
| 法定耐用年数の一部を経過している | (法定耐用年数 - 経過年数)+ 経過年数 × 20% |
計算結果に1年未満の端数があるときは切り捨て、2年に満たない場合は2年とします。出典:国税庁 タックスアンサー No.5404。
簡便法は、資本的支出の額が取得価額の50%を超える場合には使えません。この場合は、見積法により、使用可能期間を個別に判断します。
Calculation Examples
構造別の計算例
築年数を経過年数として、簡便法の年数を計算した例です。築年数は架空の設定で、実際の経過年数は、新築から事業の用に供するまでの期間などで確認します。
簡便法による耐用年数の計算例(架空の築年数)
| 構造(法定耐用年数) | 築年数 | 計算 | 簡便法の耐用年数 |
|---|---|---|---|
| 木造(22年) | 10年 | (22-10)+10×20% = 14 | 14年 |
| 木造(22年) | 15年 | (22-15)+15×20% = 10 | 10年 |
| 木造(22年) | 20年 | (22-20)+20×20% = 6 | 6年 |
| 木造(22年) | 22年以上(全部経過) | 22×20% = 4.4 → 切り捨て | 4年 |
| 鉄筋コンクリート造(47年) | 20年 | (47-20)+20×20% = 31 | 31年 |
| 鉄筋コンクリート造(47年) | 30年 | (47-30)+30×20% = 23 | 23年 |
| 鉄筋コンクリート造(47年) | 47年以上(全部経過) | 47×20% = 9.4 → 切り捨て | 9年 |
| 金属造・骨格材4mm超(34年) | 15年 | (34-15)+15×20% = 22 | 22年 |
| 金属造・骨格材4mm超(34年) | 25年 | (34-25)+25×20% = 14 | 14年 |
築年数が法定耐用年数を超えた木造では、耐用年数は4年になります。鉄筋コンクリート造では、全部を経過していても9年で、構造によって償却の速さが大きく異なります。
Effect on Tax
償却が終わる年の税額への影響(架空の例)
建物の取得価額が1,200万円の築古の木造アパートを、簡便法の4年で償却する例です。定額法で、1年あたりの償却費は、1,200万円 ÷ 4年 = 300万円です。
4年で償却する場合の年ごとの償却費(架空の例)
| 年 | 減価償却費 | 他の収支が同じ場合の不動産所得の変化 |
|---|---|---|
| 1年目〜4年目 | 毎年300万円 | 基準となる年 |
| 5年目 | 0円 | 償却費が300万円減るため、不動産所得は300万円増える |
計算を単純にするため、償却は年の途中の取得による月割りを考慮していません。実際の取得年は、事業の用に供した月数で計算します。
5年目に不動産所得が300万円増えると、その分の所得税と住民税が増えます。所得が増える年の納税資金は、借入金の元本返済とあわせて、取得の時点から資金計画に入れておきます。
一方で、4年間は償却費が大きいため、不動産所得が赤字になることがあります。赤字は、給与所得などと損益通算できますが、土地を取得するための借入金の利子に当たる部分は、通算の対象になりません。
Checklist
取得前に確認すること
- 建物の構造と用途(登記事項証明書、売買契約書)
- 新築年月と、築年数(経過年数の判断に使う)
- 土地と建物の価額の区分(売買契約書の記載、または合理的な按分)
- 増改築の履歴と、取得後に予定している改修(資本的支出が取得価額の50%を超えないか)
- 償却が終わる年と、その年の不動産所得の見通し
当事務所の顧問では、決算報告に納税予測を同梱しています。償却が終わる年を含めて、翌年以降の所得税と住民税の見込みを、1枚の表にまとめます。
本ページは2026年9月時点の制度に基づく一般的な説明です。個別の事情で結論が変わることがあるため、実際の申告や判断の前に、お客さまの状況に合わせて確認します。
監修:三上浩平(公認会計士・税理士) 東京税理士会 登録番号 第144424号。制度の内容は2026年9月時点のものです。代表税理士のページ
Sources
出典
- 国税庁 耐用年数(建物/建物附属設備)https://www.keisan.nta.go.jp/r6yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/taiyonensutatemono.html
- 国税庁 No.5404 中古資産の耐用年数https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5404.htm
- 国税庁 No.2100 減価償却のあらましhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm
- 国税庁 No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1391.htm
