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路線価の読み方
相続税で土地を評価するときの出発点は、国税庁が公表する路線価図です。この記事では、路線価図の数字と記号の意味、路線価方式と倍率方式の違い、賃貸している土地(貸家建付地)の計算を、架空の数値例で説明します。制度は2026年9月時点で、国税庁の資料で確認しました。
Map Symbols
路線価図の表示
路線価は、道路に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額で、路線価図では千円単位の数字で示されます。たとえば「215D」は、路線価が1平方メートル当たり215,000円で、借地権割合が60%であることを表します。数字の右に付くアルファベットは、A〜Gの記号で、借地権割合を示します。
路線価図の記号と借地権割合
| 記号 | 借地権割合 | 記号 | 借地権割合 |
|---|---|---|---|
| A | 90% | E | 50% |
| B | 80% | F | 40% |
| C | 70% | G | 30% |
| D | 60% |
路線価図には、このほかに地区区分(ビル街地区、普通住宅地区など)を示す記号があります。奥行価格補正率などの補正率は、地区区分に応じて定められているため、評価する土地がどの地区に属するかを、路線価図で確認します。
Two Methods
路線価方式と倍率方式
土地の評価方法は、その土地が路線価の定められている地域にあるかどうかで分かれます。
評価方法の違い
| 方式 | 対象 | 計算の考え方 |
|---|---|---|
| 路線価方式 | 路線価が定められている地域の土地 | 路線価に奥行価格補正率などの補正率を掛け、土地の面積を乗じます。 |
| 倍率方式 | 路線価が定められていない地域の土地 | 固定資産税評価額に、評価倍率表で定められた倍率を掛けます。 |
路線価図と評価倍率表は、国税庁の「財産評価基準書」で、年分ごとに公表されています。相続の場合は、相続開始の年分を使います。
同じ市内でも、市街地は路線価方式、郊外は倍率方式というように、地域によって方式が分かれることがあります。複数の土地を相続するときは、土地ごとにどちらの方式か、最初に確認します。
Adjustment Rates
補正率の種類
路線価方式の評価額は、路線価をそのまま面積に掛けるのではなく、土地の状況に応じた補正を加えて計算します。国税庁が示す主な補正率と加算率は、次の三つです。
- 奥行価格補正率:道路からの奥行の長さに応じて、路線価を調整します。地区区分ごとに率が定められています。
- 側方路線影響加算率:道路に接する辺が正面のほかにもあるとき(角地など)に、側方の路線価を加味して加算します。
- 二方路線影響加算率:正面と裏面の両側に道路があるとき、裏面の路線価を加味して加算します。
土地の形状が整っていない場合など、これ以外の補正が必要になることもあります。当事務所では、路線価図、地積測量図、固定資産税の資料をあわせて確認し、評価に必要な補正を洗い出します。
Numerical Example
貸家建付地の計算例(架空)
次の架空の土地で、自用地の評価額と、賃貸アパートの敷地としての評価額を計算します。条件は、路線価が「215D」、面積が200平方メートル、奥行価格補正率が1.00、借家権割合が30%です。補正率と借家権割合は、この例のための仮定です。
- 1
自用地の評価額
215,000円 × 1.00 × 200㎡ = 43,000,000円(4,300万円)。
- 2
借地権割合の読み取り
路線価図の記号Dから、借地権割合は60%です。
- 3
賃貸割合の計算
賃貸されている各独立部分の床面積の合計 ÷ 家屋の各独立部分の床面積の合計。全室が賃貸中なら100%、床面積の8割が賃貸中なら80%です。
- 4
貸家建付地の評価額
自用地の評価額 - 自用地の評価額 × 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合。
賃貸割合ごとの評価額(架空の例)
| 賃貸割合 | 控除する額 | 貸家建付地の評価額 |
|---|---|---|
| 100% | 4,300万円 × 60% × 30% × 100% = 774万円 | 3,526万円 |
| 80% | 4,300万円 × 60% × 30% × 80% = 619.2万円 | 約3,681万円 |
賃貸割合は、相続開始の時に賃貸されている部分の割合で計算します。空室の一部は、継続して賃貸されていた部分が一時的に空室になっているにすぎないと認められる場合、賃貸されていたものとして扱える取扱いがあります。
賃貸割合が100%のときの3,526万円は、自用地の4,300万円より774万円低くなります。ただし、空室が増えると賃貸割合が下がり、評価額は上がります。相続開始の時点の入居状況が、評価額に影響します。
この計算例は、令和8年12月31日までの相続で、路線価による評価を行う場合のものです。令和8年度税制改正の大綱(2025年12月)で、賃貸不動産の相続税評価の見直しが示されています。被相続人等が課税時期前5年以内に、購入や新築など対価を伴う取引で取得した一定の貸付用不動産は、令和9年1月1日以後の相続等で取得する財産の評価から、路線価や固定資産税評価額ではなく、課税時期における通常の取引価額に相当する金額で評価します。課税上の弊害がない限り、取得価額を基に地価の変動等を考慮して計算した価額の80%で評価できる取扱いとされる予定です。不動産特定共同事業契約などに基づく権利の目的となっている貸付用不動産は、取得の時期にかかわらず対象です。令和8年12月31日までの相続や、取得から5年を超えた不動産には適用されません。具体的な取扱いは財産評価基本通達で定められるため、2026年9月時点では内容の公表を確認しながら判断します。賃貸不動産を最近取得した方は、取得価額と取得時期が分かる資料を残してください。
Special Provision
小規模宅地等の特例との関係
賃貸アパートの敷地は、小規模宅地等の特例の貸付事業用宅地等にあたります。限度面積は200平方メートル、減額割合は50%です。上の例で、賃貸割合が100%のとき、貸家建付地の評価額3,526万円に対して、50%の1,763万円が減額され、評価額は1,763万円になります。
この特例には要件があります。相続開始前3年以内に新たに貸付けを始めた宅地は、原則として対象外です(被相続人等が3年を超えて事業的規模の貸付け(特定貸付事業)を行っていた場合を除きます)。また、特例を使うには、申告書に計算明細書や遺産分割協議書の写しなどを添付する必要があります。複数の相続人がいる場合は、全員の同意と、原則として申告期限までの分割が必要です。
評価額の推移(架空の例)
| 段階 | 評価額(万円) |
|---|---|
| 自用地 | 4,300 |
| 貸家建付地(賃貸割合100%) | 3,526 |
| 貸付事業用宅地等として50%減額 | 1,763 |
Checklist
評価の前に確認する資料
- 路線価図(相続開始の年分)と評価倍率表
- 登記事項証明書と、地積測量図または公図
- 固定資産税の課税明細書(評価証明書)
- 賃貸借契約書と、相続開始の日の入居状況が分かる資料
- 建物の各独立部分の床面積が分かる図面
本ページは2026年9月時点の制度に基づく一般的な説明です。個別の事情で結論が変わることがあるため、実際の申告や判断の前に、お客さまの状況に合わせて確認します。
監修:三上浩平(公認会計士・税理士) 東京税理士会 登録番号 第144424号。制度の内容は2026年9月時点のものです。代表税理士のページ
Sources
出典
- 国税庁 No.4602 土地家屋の評価https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4602.htm
- 国税庁 No.4604 路線価方式による宅地の評価https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4604.htm
- 国税庁 No.4614 貸家建付地の評価https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4614.htm
- 国税庁 路線価図の説明https://www.rosenka.nta.go.jp/docs/ref_prcf.htm
- 国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm
- 財務省 令和8年度税制改正の大綱(資産課税:相続税等の財産評価の適正化)https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/08taikou_02.htm
