Deadlines
相続税の期限の一覧
相続では、期限の起点になる日が手続きごとに異なります。この記事では、相続の放棄、準確定申告、相続税の申告、特例の適用、売却の特例までの期限を、一つの表にまとめます。制度は2026年9月時点で、国税庁と裁判所の公表資料で確認しました。
Deadline Table
期限の一覧表
相続に関する主な期限を、起点になる日の順に並べます。「知った日」を起点にするものと、「相続開始の日」を起点にするものがあるため、どの日が起点かを最初に確認します。
相続に関する主な期限(2026年9月時点)
| 期限 | 起点 | 手続き | 内容 |
|---|---|---|---|
| 3か月以内 | 自己のために相続の開始があったことを知った時 | 相続の放棄・限定承認 | 家庭裁判所に申述します。事情によっては、家庭裁判所に申立てをして期間を伸ばせます。 |
| 4か月以内 | 相続の開始があったことを知った日の翌日 | 準確定申告 | 亡くなった方のその年の所得の確定申告です。被相続人の死亡当時の納税地の税務署へ提出します。 |
| 10か月以内 | 被相続人の死亡を知った日の翌日 | 相続税の申告・納付 | 被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署へ提出します。延納・物納の許可申請も、この期限までです。 |
| 3年以内 | 相続税の申告期限 | 未分割の財産の分割 | 申告期限後3年以内の分割見込書を出しておけば、3年以内の分割で小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使えます。 |
| 4か月以内 | 分割が成立したことを知った日 | 更正の請求(税額が減る場合) | 未分割で申告した後、分割で税額が減るときの手続きです。増えるときは修正申告をします。 |
| 3年を経過する日まで | 相続開始の日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後 | 取得費加算の特例 | 相続した財産を売る場合に、支払った相続税額の一部を取得費に加算できる期間です。 |
| 3年を経過する日の属する年の12月31日まで | 相続の開始の日 | 被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除 | 令和9年12月31日までの譲渡が対象で、売却代金は1億円以下などの要件があります。 |
| 翌年2月1日から3月15日 | 贈与を受けた年の翌年 | 贈与税の申告・相続時精算課税の選択届出 | 暦年課税の申告と、精算課税の届出は、同じ期間に行います。 |
空き家特例は、譲渡の期限が二つあり、いずれにも収まる必要があります。期限が土曜日、日曜日、祝日に当たる場合の扱いは、手続きごとに確認します。
Starting Points
起点の日が異なる理由
相続の放棄の3か月と、準確定申告の4か月は、「知った時」「知った日の翌日」を起点にします。相続税の10か月も、死亡を知った日の翌日から数えます。一方、空き家特例の売却期限は、相続の開始の日から数えるため、他の期限より起点が早くなることがあります。
被相続人と長く別居していた場合などは、死亡の日と、死亡を知った日が異なることがあります。この場合、どの日が起点になるかで、期限の日付が変わります。連絡を受けた日付と、連絡の手段は、後から確認できるように記録しておきます。
- 相続の放棄・限定承認:知った時から3か月以内
- 準確定申告:知った日の翌日から4か月以内
- 相続税の申告・納付:死亡を知った日の翌日から10か月以内
- 取得費加算:相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで
- 空き家特例:相続の開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで(令和9年12月31日までの譲渡に限る)
Numerical Example
日付で数える例(架空)
被相続人が2026年10月20日に亡くなり、相続人が同じ日にそのことを知った、という架空の設定で期限の日付を数えます。
数える例(2026年10月20日に死亡を知った場合)
| 手続き | 期限の目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 相続の放棄・限定承認 | 2027年1月20日 | 3か月後の応当日です。期間の伸長は、この日までに家庭裁判所へ申立てます。 |
| 準確定申告 | 2027年2月20日 | 10月21日から数えて4か月後です。この日は土曜日にあたるため、提出日の扱いを事前に確認します。 |
| 相続税の申告・納付 | 2027年8月20日 | 死亡を知った日の翌日から10か月後です。金曜日のため、期限は同じ日です。 |
| 分割見込書後の分割 | 2030年8月20日ごろ | 申告期限から3年以内が目安です。分割が間に合わないときは、見込書を申告書に添えます。 |
上の日付は架空の設定で数えた目安です。実際の期限は、起点になる日と暦の日付を確認して決めます。
相続税の申告と納付は、同じ期限です。納税資金が不足しそうな場合は、延納や物納の許可申請も、この期限までに行う必要があるため、申告書の作成と並行して、納税の方法を早い時期に決めます。
Points
期限で見落としやすい点
- 未分割のまま申告すると、小規模宅地等の特例と配偶者の税額軽減は、原則として使えません。申告期限までに分割できるかを、9か月目までに見通します。
- 税額が減る更正の請求は、分割を知った日から4か月以内です。期限を過ぎないよう、分割協議の成立日を記録します。
- 取得費加算は、相続した財産を売るときの特例で、売却の時期が申告期限の翌日から3年以内である必要があります。売却の予定がある場合は、申告の段階で時期を決めておきます。
- 空き家特例は、譲渡の期限が二つあります。相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日と、令和9年12月31日のいずれにも収まる必要があります。
- 賃貸収入のある被相続人の準確定申告は、相続税の準備より期限が早く来ます。賃料の入金明細と、修繕費・借入金利子の資料を、早い時期に集めます。
Process
当事務所が期限の管理で行うこと
- 1ご一緒に
起点日の確認
被相続人の死亡日、死亡を知った日、相続人ごとの状況を伺い、期限の起点になる日を一覧にします。
- 2事務所
期限表の作成
放棄、準確定申告、相続税の申告、分割見込書、特例ごとに、実際の日付を入れた期限表を作ります。
- 3お客さま
資料の収集
期限の早い準確定申告に必要な資料から順に、お客さまにご案内し、お預かりします。
- 4ご一緒に
分割見通しの点検
申告期限の3か月前を目安に、遺産分割がまとまる見通しを確認し、未分割で申告する場合の影響を試算します。
本ページは2026年9月時点の制度に基づく一般的な説明です。個別の事情で結論が変わることがあるため、実際の申告や判断の前に、お客さまの状況に合わせて確認します。
監修:三上浩平(公認会計士・税理士) 東京税理士会 登録番号 第144424号。制度の内容は2026年9月時点のものです。代表税理士のページ
Sources
出典
- 国税庁 No.4205 相続税の申告と納税https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm
- 国税庁 No.4208 相続財産が分割されていないときの申告https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4208.htm
- 国税庁 No.4158 配偶者の税額の軽減https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4158.htm
- 国税庁 No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2022.htm
- 国税庁 No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3267.htm
- 国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
- 国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4402.htm
- 国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103.htm
- 裁判所 相続の放棄の申述https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html
- 法務省 相続登記の申請の義務化https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00546.html
- 戸籍法(e-Gov法令検索)第86条https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000224
- 民法(e-Gov法令検索)第915条https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- 相続税法(e-Gov法令検索)第32条https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000073
