Glossary
用語集
相続税と不動産の税務でよく使う用語30語を、分類ごとにまとめました。各語について、制度上の定義と、実務で確認する点、詳しく説明したページを記載しています。数値と要件は2026年9月時点の国税庁などの公表資料に基づきます。
Inheritance and Gift
相続税・贈与税の用語
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| 基礎控除 | 相続税で、課税価格の合計額から差し引ける金額です。「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。相続税の要否は、まず基礎控除との比較で判断します。特例を使う場合は、基礎控除以下でも申告が必要か確認します。関連ページ:相続税の申告(/souzoku/shinkoku/) |
| 法定相続人 | 民法で定められた相続人の範囲です。配偶者は常に相続人で、子、父母など、兄弟姉妹の順に加わります。民法上は、相続を放棄した人は初めから相続人でなかったものとされます。ただし、相続税の基礎控除の計算では、放棄した人も法定相続人の数に含めます。基礎控除の人数と法定相続分は、放棄がなかったものとして数えます。関連ページ:相続の手続きの流れと期限(/souzoku/nagare/) |
| 路線価 | 道路に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額で、路線価図に千円単位で示されます。路線価方式で土地を評価するときの出発点になります。評価の前提として、路線価図の数字と記号を読み取ります。関連ページ:土地・建物の評価(/souzoku/hyoka/)、路線価の読み方(/guide/rosenka/) |
| 倍率方式 | 路線価が定められていない地域の土地を、固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて評価する方法です。倍率は評価倍率表で確認します。路線価方式か倍率方式かは、土地の所在地ごとに判定します。関連ページ:土地・建物の評価(/souzoku/hyoka/) |
| 貸家建付地 | 人に貸している建物(貸家)の敷地です。評価額は、自用地としての価額から「自用地の価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合」を差し引いて計算します。賃貸割合は申告時点の各部屋の入居状況から計算するため、入居の記録を確認します。関連ページ:土地・建物の評価(/souzoku/hyoka/) |
| 小規模宅地等の特例 | 被相続人の居住用や事業用の宅地の評価額を減らす特例です。特定居住用宅地等は330㎡まで80%、特定事業用宅地等は400㎡まで80%、貸付事業用宅地等は200㎡まで50%を減額します。適用できる区分は、相続人の取得の仕方によって異なります。申告前に試算で確かめます。関連ページ:土地・建物の評価(/souzoku/hyoka/) |
| 配偶者の税額軽減 | 配偶者が取得した財産が、1億6,000万円と法定相続分相当額のどちらか多い金額までなら、配偶者に相続税がかからない制度です。申告期限までの分割が原則で、分割見込書を出す方法もあります。配偶者の取得を増やすと二次相続の税額が増えることがあるため、二次相続まで含めて比べます。関連ページ:二次相続まで見た試算(/souzoku/niji/) |
| 相続時精算課税 | 60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与について選べる制度です。年110万円の基礎控除と累計2,500万円の特別控除があり、超えた分に一律20%が課されます。選ぶと暦年課税には戻せず、相続時に贈与時の価額を相続財産に加算します。暦年課税と比べるときは、贈与する財産の種類と、相続時の加算まで含めて試算します。関連ページ:生前の対策と贈与(/souzoku/seizen/) |
| 暦年課税 | 1年間に受けた贈与の合計額から、基礎控除110万円を差し引いて贈与税を計算する方式です。申告は、翌年2月1日から3月15日までです。贈与の回数と時期は、相続開始前の加算期間とあわせて確認します。関連ページ:生前の対策と贈与(/souzoku/seizen/) |
| 生前贈与加算 | 相続開始前に受けた贈与の価額を、相続財産に加算する制度です。加算する期間は、令和8年12月31日までの相続開始で3年以内、令和13年1月1日以後の相続開始で7年以内で、その間は段階的に延びます。相続の時期によって加算期間が変わるため、贈与の年月日を一覧にして確認します。関連ページ:生前の対策と贈与(/souzoku/seizen/) |
| 二次相続 | 親の一方が亡くなった相続(一次相続)のあと、もう一方の親が亡くなったときに起きる相続です。配偶者が多く取得すると、一次相続の税額は下がる一方、二次相続で子の税額が増えることがあります。一次相続の申告の前に、二次相続までの合計額で比べます。関連ページ:二次相続まで見た試算(/souzoku/niji/)、二次相続の考え方(/guide/niji/) |
| 準確定申告 | 亡くなった方のその年の所得について、相続人が代わりに行う確定申告です。期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内で、被相続人の死亡当時の納税地の税務署に提出します。賃貸収入がある方の相続では、相続税の準備と並行して、この申告の期限を早めに確認します。関連ページ:相続の手続きの流れと期限(/souzoku/nagare/) |
| 取得費加算 | 相続した財産を売ったとき、支払った相続税額の一部を譲渡所得の取得費に加える特例です。相続開始の日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売ることが要件です。売却の時期と加算できる相続税額は、売却の契約前に試算します。関連ページ:相続した不動産の売却と申告(/souzoku/baikyaku/) |
Rental Income
不動産所得と減価償却の用語
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| 事業的規模 | 不動産の貸付けが、事業として行われている程度の規模であることです。建物の貸付けは、独立家屋ならおおむね5棟以上、貸間・アパートならおおむね10室以上が目安です。棟数と室数は別々の目安で、いずれも「おおむね」です。実態を確認して判断します。関連ページ:事業的規模(5棟10室)(/guide/jigyoteki/)、不動産所得の確定申告と記帳(/fudousan/kakutei/) |
| 青色申告特別控除 | 青色申告者が、所得金額から差し引ける控除です。10万円、55万円、65万円の3段階があり、65万円は複式簿記に加えて、電子帳簿保存またはe-Taxによる申告が必要です。令和9年分以後は、65万円の要件にe-Taxによる期限内申告が加わり、電子帳簿保存も行う場合は75万円になります。控除額は、事業的規模かどうかと記帳・申告の方法で決まるため、年初に方針を決めます。関連ページ:不動産所得の確定申告と記帳(/fudousan/kakutei/) |
| 減価償却 | 建物など、使うにつれて価値が減る資産の取得費を、使える期間にわたって少しずつ必要経費にする手続きです。建物は、平成10年4月1日以後の取得分は定額法のみです。償却が終わる年の前に、課税所得と納税額がどう変わるかを見通します。関連ページ:減価償却と修繕(/fudousan/shokyaku/) |
| 耐用年数(中古の簡便法) | 減価償却の年数です。中古建物は、法定耐用年数の全部を経過していれば法定耐用年数×20%、一部を経過していれば「(法定耐用年数−経過年数)+経過年数×20%」で求め、1年未満は切り捨て、2年に満たなければ2年とします。中古の木造は簡便法で年数が短くなるため、取得前の収支計画から反映します。関連ページ:中古建物の耐用年数(/guide/taiyonensu/)、減価償却と修繕(/fudousan/shokyaku/) |
| 資本的支出 | 建物の使用可能期間を延ばしたり、価値を高めたりする支出です。必要経費にはならず、資産に計上して減価償却します。資本的支出に当たるかどうかは、工事の見積りの段階で確認します。関連ページ:減価償却と修繕(/fudousan/shokyaku/) |
| 修繕費 | 建物の維持・管理や、原状回復のための支出で、支払った年の必要経費になります。1回の金額が20万円未満か、おおむね3年以内の周期で行う修理は、修繕費として扱えます。形式基準で決まらない工事は、工事の内容と金額を確認して区分を決めます。関連ページ:減価償却と修繕(/fudousan/shokyaku/) |
| 損益通算 | 不動産所得などの赤字を、給与所得など他の所得の黒字と相殺することです。土地を取得するための借入金の利子に当たる部分は、損益通算の対象になりません。通算できる赤字の額は、借入金の使途を土地分と建物分に分けて確認します。関連ページ:不動産所得の確定申告と記帳(/fudousan/kakutei/) |
Purchase and Sale
借換えと売却の用語
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| 借換え | 現在の借入金を、新しい借入金で返済することです。金利や返済期間が変わるため、返済額と利子の必要経費が変わります。借換え診断は、不動産オーナーの顧問に含まれる業務の一つです。関連ページ:購入・借換え・売却の税金(/fudousan/torihiki/) |
| 譲渡所得(長期・短期) | 不動産などを売って得た利益にかかる所得です。譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超えると長期で、税率は所得税15%と住民税5%、5年以下は短期で、所得税30%と住民税9%です。所得税額の2.1%の復興特別所得税が加わります。売却の時期は、所有期間が5年を超えるかどうかとあわせて確認します。関連ページ:購入・借換え・売却の税金(/fudousan/torihiki/) |
| 被相続人の居住用財産の3,000万円特別控除 | 相続した空き家を売るとき、譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける特例です。昭和56年5月31日以前に建築された家屋などの要件があり、令和9年12月31日までの譲渡が対象です。相続人が3人以上の場合の控除額は2,000万円です。建物の建築年と、売却までの利用状況が要件に合うかを、売却の前に確認します。関連ページ:相続した不動産の売却と申告(/souzoku/baikyaku/) |
Corporations
法人の用語
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| 資産管理会社 | 不動産などの資産を所有し、管理するための法人を一般にこう呼びます。法令上の名称ではありません。当事務所の法人の顧問は、不動産オーナーの資産管理会社に限っています。関連ページ:法人化と資産管理会社(/fudousan/houjinka/)、法人のお客さま(/business/) |
| 法人化 | 個人で行っている不動産の貸付けを、法人で行うことです。所得税に代わって法人税がかかり、役員報酬の支払いや社会保険などの検討が加わります。法人化は、税率だけでなく、融資の枠や相続の見通しもあわせて比べます。関連ページ:法人化を考える所得の目安(/guide/houjinka/) |
| 役員報酬 | 法人が役員に払う給与です。損金に入れるには、原則として定期同額給与などの要件を満たす必要があり、給与の改定は、事業年度開始から3か月以内が原則です。金額は期首に決めるため、決算前ではなく、事業年度の開始時に検討します。関連ページ:法人化と資産管理会社(/fudousan/houjinka/) |
Consumption Tax
消費税の用語
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| インボイス(適格請求書等保存方式) | 令和5年10月1日に始まった制度です。一定の事項を記載した帳簿と適格請求書の保存が、仕入税額控除の要件になります。登録番号は、法人番号のある課税事業者では「T+法人番号」、そのほかは「T+13桁の数字」です。賃貸住宅の家賃は非課税のため、登録の要否は、収入の内訳を確認して判断します。関連ページ:消費税とインボイス(/fudousan/shohizei/) |
| 簡易課税 | 売上にかかる消費税額を基礎に、仕入にかかる消費税額を計算する制度です。基準期間の課税売上高が5,000万円以下で、課税期間の開始前に届出が必要です。不動産業のみなし仕入率は40%です。届出の期限は課税期間の開始前のため、課税事業者になる年の前に検討します。関連ページ:消費税とインボイス(/fudousan/shohizei/) |
| 非課税売上(住宅の貸付け) | 住宅の貸付けは消費税が非課税で、非課税売上になります。貸付期間が1か月未満の場合や、旅館業法の旅館業に当たる施設の貸付けは、非課税になりません。居住用賃貸建物の購入にかかった消費税は、原則として仕入税額控除の対象外になります。関連ページ:消費税とインボイス(/fudousan/shohizei/) |
| 課税事業者(納税義務の判定) | 消費税の納税義務がある事業者です。基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら、原則として納税義務が免除されます。ただし、インボイスの登録を受けた場合や、課税事業者選択届出書を出した場合は、免除されません。住宅の家賃だけの場合は課税売上がないため、判定の対象になる収入があるかを確認します。関連ページ:消費税とインボイス(/fudousan/shohizei/) |
用語の説明は2026年9月時点の制度に基づく一般的な内容です。個別の事情による判断は、ご相談時にお伺いします。
監修:三上浩平(公認会計士・税理士) 東京税理士会 登録番号 第144424号。制度の内容は2026年9月時点のものです。代表税理士のページ
Sources
出典
- 国税庁 No.4152 相続税の計算https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm
- 国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4132.htm
- 国税庁 No.4602 土地家屋の評価https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4602.htm
- 国税庁 No.4604 路線価方式による宅地の評価https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4604.htm
- 国税庁 No.4614 貸家建付地の評価https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4614.htm
- 国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm
- 国税庁 No.4158 配偶者の税額の軽減https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4158.htm
- 国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103.htm
- 国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4402.htm
- 国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4161.htm
- 国税庁 No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2022.htm
- 国税庁 No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3267.htm
- 国税庁 No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1373.htm
- 国税庁 No.2072 青色申告特別控除https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm
- 国税庁 No.2100 減価償却のあらましhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm
- 国税庁 No.5404 中古資産の耐用年数https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5404.htm
- 国税庁 No.1379 修繕費とならないものの判定https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1379.htm
- 国税庁 No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1391.htm
- 国税庁 No.3208 長期譲渡所得の税額の計算https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm
- 国税庁 No.3211 短期譲渡所得の税額の計算https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3211.htm
- 国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
- 国税庁 No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5211.htm
- 国税庁 No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6498.htm
- 国税庁 No.6505 簡易課税制度https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6505.htm
- 国税庁 No.6226 住宅の貸付けhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6226.htm
- 国税庁 No.6501 納税義務の免除https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6501.htm
- 国税庁 消費税法基本通達 第7節 居住用賃貸建物https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shohi/11/08.htm
- 国税庁 路線価図の説明https://www.rosenka.nta.go.jp/docs/ref_prcf.htm
- 財務省 令和8年度税制改正の大綱(個人所得課税)https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/08taikou_01.htm
